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『源氏物語』は、世界で最も古い長編小説と言われる。作者は下級貴族の女性、紫式部。最初は仲間内で回し読みして楽しむだけのものだった。当時は紙が貴重だったので、紙が手に入った時だけ書いていた。それが評判を呼んで、時の権力者の娘の家庭教師として雇われた。彼女は宮中で物語を書き続けて、物語は54話もの長編に及んだ。 主人公は、後ろ盾が弱い皇子として生まれた源氏。彼を通して、恋愛、栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、平安時代の貴族社会を描く。 The Tale of Genji is said to be the oldest novel in the world. The author is Murasaki Shikibu, a lower-ranking woman. At first, it was just something to pass around and enjoy among her peers. Paper was scarce in those days, so she only wrote when paper was available. It earned her a reputation, and she was hired as a tutor to the daughter of a powerful man of the time. She continued to write the tale in the imperial court, and the tales spanned 54 episodes. The main character is Genji, who was born as a prince with a weak backing. Through him, the aristocratic society of the Heian period is depicted, including love, glory and downfall, political desires and power struggles. Next Episode: 2-2, 帚木 https://youtu.be/a-FI5hCq6U8 Playlist: https://youtube.com/playlist?list=PLJov1NnDE_N8SsW5UKTXZUbll1QNLvsUU スクリプトー------------ 源氏は17歳になった。ずっと宮中にいて、あまり妻、葵の上に逢いに帰らないから、浮気を疑う人もいた。左大臣の家族はそれが嫌だった。彼の気を引くために色々なことをしていた。特に妻の兄弟、頭中将は、源氏ととても親しくなった。彼は右大臣のもう一人の娘と結婚していたが、彼もまた、あまり妻の家へ行くのが好きではなかった。だから、源氏と頭中将はいつも宮中で一緒にいた。 ある雨の晩、二人はいろいろな女性の噂話をしていた。 「高貴な女性は誰も悪いところを言わないから、本当の性格がわらない。それに比べると、中流の女性は個性が見えて面白い。でも、完璧な女性はいない」と頭中将が言った。 そこへ、年配の貴族が二人来た。 「結婚するなら、話を聞いてくれる女性がいいですよ。仕事のことや、趣味のことについて、妻の意見を聞きたいと思う、そういう人がいい。まあ、普段は仲が悪くても、何かあったら一番信頼できる、そういう夫婦関係もありますが」一人がそう言って、ため息を吐いた。「私の元妻は賢い女で、仕事や趣味についても話ができる人でした。それに、私を心から愛してくれていました。でも嫉妬深かった。私は若かったから、彼女の嫉妬が嫌で、わざと浮気をしました。『私はあなたの嫉妬に我慢できない。他の女のところへ行きます。私と離婚したくなかったら、少し嫉妬を我慢してください』と言ったんです。 私は妻が謝ると思っていましたが、彼女は『私はあなたの浮気癖に我慢できません』と怒って、私の指を嚙みました。それで私は懲らしめるつもりで、しばらく家に帰りませんでした。ところが、いくら待っても、妻は謝りませんでした。 ある寒い晩、浮気相手の家へ行く気分でもなかったから、妻に逢いに帰りました。妻は実家に帰っていましたが、私の着物を温めてくれていました。こんな寒い日は、私が帰るかもしれないと思ったのでしょう。心が通じていると思って、私は嬉しかった。でも本人がいませんから、私はまた怒って、またしばらく帰りませんでした。やがて妻は心の病気で亡くなりました。私が悪いんです。本当に、あの嫉妬以外は最高の妻でした。それからは浮気相手のところへ行っても楽しくなくなって、あまり行きませんでした。 ある晩、私はある貴族を牛車にのせてあげました。彼の愛人の家が、私の浮気相手の家と同じ方角だったんです。ところが着いてみると、それは私の浮気相手の家でした。二人は私が見ていることに気づかないで、私の悪口を言ってイチャイチャしはじめました。それで、その女とはすぐ別れましたよ。あなたたちも、浮気な女には気を付けてください」 「私の場合は、妻の家族が厄介で…」と頭中将が話を始めた。「私もある女性とよく逢っていました。父親がいない、可哀そうな人でした。私は彼女の生活を助けてあげていました。私との娘も産んでくれた。しかし妻の家族がそれを知って、彼女にひどい嫌がらせをしたんです。それで、彼女は子どもを連れてどこかへ行ってしまいました。捜したいけど、手掛かりもありません。まだどこかで生きていたら、とても苦労していると思います」頭中将は、もう一人の貴族に言った。「あなたにも何か面白い経験があるでしょう。話してください」 「そんなに面白い話はありませんよ」と彼は言ったが、話を始めた。「私は学生のときに先生の娘と付きあったことがあります。それを知った先生は、とても喜んでくれました。彼女はいつも私に色々教えて、注意して、叱ってくれました。一緒にいると、とても勉強になりました。 でも私は間違いや失敗が多い男ですから、そんな女と一生一緒にいたくはなかった。それで、しばらく逢いに行かなかったんです。でも、ある日用事があって仕方なく逢いに行くと、彼女は私に、部屋の中に入ってはいけないと言いました。しばらく逢いに来なかった私を懲らしめるつもりだと思いました。彼女は高い声で言いました。『体調が悪くて、臭い薬を飲みました。だから近くに来ないでください』私は、ばかばかしい嘘だと思いました。でも、すぐに気が付いたんです。本当に、すごくニンニク臭かった。私は急いで和歌を残して、部屋を出ました。家の人が返事を持って追いかけて来ましたよ。そんなときでもすぐに洒落た和歌を書くことができるんですよ、ああいう女は」 他の貴族たちは呆れた。「作り話でしょう」 「いいえ、本当の話ですよ」 貴族たちはそんな話を朝まで続けていた。 源氏は心の中で藤壺のことを想って、彼女こそが理想の女性だと考えていた。藤壺のことを想うと、なぜかいつも胸が苦しくなるのだった。 ー------------つづく
