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東日本から北日本に伝わる民話「三枚のお札」を #やさしい日本語 #SimpleJapanese でリライトしました。 【イラスト・写真】 いらすとや様 https://www.irasutoya.com/ イラストAC様 https://www.ac-illust.com/ 写真AC様 https://www.photo-ac.com/ 【効果音】 効果音ラボ様 https://soundeffect-lab.info/ 音人様 https://on-jin.com/ スクリプトー------------------- 昔、山奥の寺に和尚さんと小僧さんがいました。小僧さんは悪戯が大好きで、よく嘘を吐いて仕事をサボりますから、和尚さんは困っていました。 ある日、和尚さんは小僧さんに言いました。 「山で栗を拾ってきてください。栗ご飯をつくりましょう」 しかし、小僧さんは言いました。 「嫌です。栗ご飯は食べたいですが、山には、人を食べる山姥がいると聞きます。行きたくないです」 「日が暮れる前は大丈夫ですよ。でも念のために、お札を持って行ってください」 和尚さんは、霊力を込めたお札を三枚、小僧さんにあげました。 「これは、願いが叶うお札です。困った時、使ってください」 それで、小僧さんはそのお札を持って山へ行きました。 栗拾いは、思ったより楽しかったですから、小僧さんはあちこち歩いて栗を拾いました。それで、どんどん山奥へ入って、道がわからなくなりました。 「困ったなぁ。お寺へ帰る道がわからない。嫌だ、暗くなったら山姥が出るかもしれない」 小僧さんは泣きたくなりました。 あちこち歩いていると、家がありました。 「よかった。ここに一晩泊めてもらいましょう」 小僧さんが戸を叩くと、お婆さんが戸を開けました。 「道に迷いましたか。じゃ、ここで一晩休んでください。明日お寺まで送ってあげましょう」 「ありがとうございます」 お婆さんが親切だったから、小僧さんはホッとして、その家に入りました。 お婆さんはすぐに晩御飯を出してくれました。小僧さんは喜んでたくさん食べました。お腹がいっぱいになったら、とても眠くなりました。それで、小僧さんはすぐ寝ました。 夜中、小僧さんは変な音で目が覚めました。音がする方へ行くと、お婆さんが大きい包丁を研いでいました。その近くに、たくさんの人間の骨がありました。 「久しぶりの子どもだ。柔らかくて、おいしそうだ」 お婆さんは、山姥でした。 「ひっ!」小僧さんが悲鳴をあげると、山姥はお婆さんに戻って、こちらを見ました。 「どうしましたか」 「お、お手洗いへ…」 「そうですか。じゃ、体にこの縄を結んでから行ってください」 「縄…?」 小僧さんは怖かったですから、言われたとおりに縄を体に結びました。山姥は縄の端を持ってついてきました。 小僧さんはお手洗いに入ると、お札を一つ柱につけて、それに縄を結びました。 「お札さん、私の代わりに山姥に返事をしてください」 お札にそう言ってから、自分は窓から逃げました。 しばらくして、山姥が言いました。「遅い。まだか」 柱のお札が返事をしました。「まだです」 「まだか」「まだです」 「まだか」「まだまだです」 山姥はイライラして、縄を強く引きました。すると柱が折れて、お札と一緒にお手洗いから飛び出しました。 「小僧、逃げたな!」 山姥は小僧さんを追いかけました。山姥は速いですから、すぐ追いつきました。小僧さんはすぐ後ろにいる山姥を見て、悲鳴をあげました。 「お札さん、お願いします! 大きい川になってください!」 そう言って二枚目のお札を後ろに投げました。すると、山姥の前に大きい川が現れました。 「はっはっは! こんな川、全部飲むことができる」 山姥は川の水を全部飲みました。小僧さんは逃げましたが、またすぐに山姥が追いつきました。 小僧さんはすぐ後ろにいる山姥を見て、ゾッとしました。 「お札さん、お願いします! 山姥を火で包んでください」 そう言って三枚目のお札を投げました。すると今度は大きい火が現れて、山姥を包みました。 「はっはっは! ちょうどさっき飲んだ水がある」 山姥は口から水を吐いて、火を消しました。 「ああ、もうお札がない!」 小僧さんは走りました。寺が見えました。 「和尚さま、和尚さま! 助けてください!」 寺では和尚さんが餅を焼いてました。 「おや小僧さん、遅かったですね。どうしましたか」 「山姥が来ます。助けてください」 「ああ、小僧さんはよく嘘を吐いて仕事をサボります。これも噓かもしれない」 「嘘じゃありません! もう二度と嘘を吐きません! 助けてください」 「言いましたね。約束ですよ」 そう言うと、和尚さんは小僧さんを寺に入れて、壺の中に隠しました。 そのとき、山姥が戸を開けました。 「小僧はどこだ」 和尚さんは落ち着いていました。 「小僧? 知りませんね。どんな小僧ですか」 「嘘つき和尚。おまえを先に食べるぞ」 「それはかまいませんが、せっかく珍しいお客さんだ。あなたは術を使いますか。私は使いますよ。どうですか、どちらの術がすごいか、術比べをしませんか。あなたが勝ったら、小僧さんをあなたにあげてもいい」 「おまえも術を使う? おもしろい。私が勝つ」 山姥は、自分の術のほうが絶対すごいと思いました。和尚さんが言いました。 「私は大きくなったり小さくなったりすることができます。あなたはできますか」 「簡単だ」山姥はすぐに倍くらいに大きくなって、それから赤ちゃんくらい小さくなりました。「どうだ」 「すごいですね。でも私は、豆くらい小さくなることができますよ」 「豆くらい? 私もできる!」 山姥はすぐに豆くらい小さくなりました。 「どうだ、私のほうがすごい! 和尚、次はおまえの番だ」 「じゃ、見せましょう。私の一番すごい術は…」和尚さんは柔らかくなった餅を取って、豆くらい小さい山姥を餅で包みました。「山姥を食べる術です」 そう言って和尚さんは山姥を、餅と一緒に食べてしまいました。 「…和尚さま」 「なんですか」 「山姥は…?」 「山姥? なんのことですか。さあ小僧さん、こっちへ来て、一緒に餅を食べましょう」 それから山姥を見た人は、一人もいません。 ー------------------------おわり
